麒麟がくる35話のあらすじ、感想を書いています。
光秀は坂本城の築城計画を立てますが、妻子を人質に出さなければならず、心は晴れません。
そんな時、藤吉郎の母・なかの発言がキッカケになり、摂津晴門が光秀を襲撃する計画を立てていると知らされます。
坂本城の築城に着手
明智光秀(十兵衛)(長谷川博己さん)の仲介により、松永久秀(吉田鋼太郎さん)と筒井順慶(駿河太郎さん)の戦は、回避されました。
一方、難を逃れた比叡山延暦寺の貫主・覚恕(春風亭小朝さん)は、甲斐に逃げ込んでいました。
甲斐の武田信玄(石橋凌さん)は、戦国最強と言われる騎馬隊を率いる大名ですが、信長討伐の動きを見せ初めています。
元亀2年(1571年)秋、戦の功績により近江国志賀を与えられた光秀は、信長(染谷将太さん)に命じられ、要の地である坂本に城を築城しようとしています。
琵琶湖に面した美しい城(坂本城)になるであろうと、設計図を覗き込んだ娘たちは嬉しそうです。
しかし、光秀は乗り気ではない様子で、難しい顔をしています。
そこへ、たま(竹野谷咲ちゃん)を呼びにきた煕子(木村文乃さん)がやって来ます。
坂本城の設計図に気が付いた煕子は、目を輝かせて喜びます。
ですが、光秀は気が進まない、住むのはここ・京の館が良いと言うのです。
光秀が上洛してから僅か3年で、城持ちの大名にまで出世したことに家中の者は皆喜んでいる、坂本に移るのが楽しみであるという煕子の言葉に、光秀は言いたかったことを堪えるしかなくなります。
光秀の様子を煕子が不思議に思っていると、藤田伝吾(徳重聡さん)が光秀に来客が来たことを知らせに来ました。
幕府の見限り時
木下藤吉郎(佐々木蔵之介さん)が、信長の書状を持参して訪ねてきたのです。
藤吉郎は、織田家家臣の中で城持ち大名に取り立てられた者がいない中、光秀の破格の出世を称えます。
信長の書状には、幕府が朝廷から取り上げた土地や金を取り返して、奪った者に罰を与えよという命令が書かれていました。
正親町天皇(坂東玉三郎さん)の役に立ちたいと意気込む信長は、貧困に苦しむ公家を助けようと策を打ち出したのです。
これでは、幕府に喧嘩を売るようなものですが、信長は義昭(滝藤賢一さん)や幕府のことは、もはや眼中にありません。
信長は朝廷と共に天下を治めようと考えていました。
藤吉郎は、信長の考えを道理に適ったものと見なしますが、光秀の考えは違います。
将軍を頭に頂く幕府が武士を束ねることで、世が平和に治まると言います。
光秀をジロリと見た藤吉郎は、100年以上も内輪もめや戦を繰り返す幕府など、見限り時ではないかと言い、皮肉めいた笑みを浮かべて去っていきました。
摂津晴門の計画
その頃、二条城では摂津晴門(片岡鶴太郎さん)が家臣を集めて、光秀襲撃計画を立てていました。
4日後、本圀寺にて足利義昭が茶会を開くので、出席した光秀を討ち果たそうと言うのです。
光秀は幕臣ですが、織田信長に近い存在で、朝廷寄りの政を進めようとしている為です。
信長の参謀のように活躍する光秀を排除することで、信長の力を削ごうとします。
光秀を討てば信長との戦は避けられませんが、甲斐の武田信玄(石橋凌さん)、朝倉義景(ユースケ・サンタマリアさん)、浅井長政(金井浩人さん)と示し合わせ一気に攻めようと摂津は言います。
煕子 藤吉郎の母・なかに出会う
煕子は、先日、額に怪我を負ったたまを連れて、望月東庵(堺正章さん)の診療所を訪ねていました。
たまの額は跡も残らず綺麗に治っていて、煕子はホットし、手当してくれた駒(門脇麦さん)にお礼を伝えます。
煕子と駒は、久しぶりの再会を果たし、嬉しそうに話しています。
そこへ、厚化粧の女性が入り込んできて、望月東庵と鍼治療の約束をしていると大声で東庵を探し回ります。
その女性は、藤吉郎の母・なか(銀粉蝶さん)です。
望月東庵は近くに出ているようで、なかは診療所で待っていることにします。
駒に白湯を所望したなかは、煕子を相手に藤吉郎の自慢話を始めます。
しかし、出世も程々にしないと周囲に妬まれると言い、坂本に城持ち大名になる明智光秀は、幕府に警戒されて妻子を人質に出すよう求められていると、煕子が誰かも知らずに話してしまいます。
信長を嫌っている義昭は、信長の右腕として活躍する光秀を疎んじていると藤吉郎から聞いたようです。
煕子は、光秀が浮かない顔をしていた理由をようやく理解し、たまも人質になることを初めて知ります。
光秀の妻子を人質に
駒は、義昭が写経に使う墨をすっていましたが、なかの話を思い出し、いら立ちを隠せないでいました。
義昭もいつになく不機嫌な様子で、書き損じた紙をクシャクシャに丸めると、駒に何が気に入らないのかと尋ねます。
駒は、光秀の妻子を人質にとる程、光秀が信用できないのかと単刀直入に言います。
義昭はムスッとした顔で、信長が信用できないからであると返答します。
光秀は幕臣ですが、信長と共に行動しているため、野放しにできないと摂津晴門らが意見するようです。
それでも、義昭は光秀を大事に思っていたはずで、家族と引き裂けば、光秀は義昭から離れてしまうのではないかと駒は問い詰めます。
義昭は、幕府を動かしている摂津晴門が光秀を排除したいと言えば、仕方がないと声を荒げて返答します。
そして、光秀を討つ計画も容認したと取れる発言をしますが、例えばであると言い逃れます。
光秀は京を離れて、坂本に行くと決めたので、義昭のまわりには摂津晴門しかいなく、嫌でも摂津を側に置くしかありません。
義昭は自分でも自身を残念に思い、追い詰められた顔で、首に紐を巻いて、いっそ絞め殺して欲しいと懇願するのです。
駒は、返す言葉もなく義昭を見つめていました。
その後、駒は伊呂波太夫(尾野真千子さん)の元を訪ね、光秀の命を助けて欲しいと銭を手渡します。
駒は義昭の嘘を見抜いていたのです。
明智光秀を襲撃
同じ日、義昭の開く茶会に出席するため、光秀は本圀寺に向かいます。
廊下の向こうには細川藤孝(眞島秀和さん)がいて、光秀を待っていたかのように歩み寄ってきます。
細川藤孝は、緊迫した様子で光秀に茶会に参加せず直ぐ帰るよう言い、摂津晴門が光秀を討つつもりであることを伝えます。
伊呂波太夫は、細川藤孝に光秀の危機を知らせたようです。
そして、摂津晴門の家臣が本圀寺の門の前に立ちはだかり、誰も寺の中には入れないと言います。
光秀は、明智左馬助(間宮祥太朗さん)が足止めされた理由が分かりました。
藤孝の兄・三淵藤英(谷原章介さん)も茶会に呼ばれており、摂津晴門と距離を保っているので、味方に出来ればと藤孝は考えます。
細川藤孝に感謝を伝えた光秀は、制止を振りほどくと、覚悟したかのように義昭のいる奥の部屋を目指して行きました。
光秀は摂津晴門の家臣に怪我を負わされますが、どうにか義昭のいる部屋に入り、着座して平伏します。
摂津晴門の企みを知っていた足利義昭は、光秀をギョッとした顔で見ると、摂津の家臣らを追い払います。
光秀の決意
義昭の側近も下がらせ、光秀と二人になります。
顔を上げた光秀は、脚の痛みを堪えて、真剣に義昭に進言します。
3年前、義昭を奉じて上洛した直後に、敵である三好勢が本圀寺に攻め込んできた時のことを、光秀は振り返ります。
義昭を守る為、共に穴蔵に身を潜める光秀に、義昭は都は穏やかでなくてはならない言い、光秀も同じ願いを持っていました(28話)。
3年前の義昭と光秀は、この本圀寺で、志を一つにしていたのです。
義昭と出会って3年、上洛を果たして3年が経ち、摂津晴門や古い幕臣たちを切り捨てる良い機会ではないか。
義昭は摂津晴門らを切り捨てて、その後は信長が勝手気ままに京を治めるのを見ているのかと怒鳴ります。
光秀は、もしも信長が道を誤るようであれば、直ちに坂本城を返上し、二条城で義昭を守ると決意を述べます。
以前、義昭と共に越前を出て、信長のいる美濃へ行く際、将軍を守ると自身に言い聞かせたと言います。
摂津晴門の失脚
そこへ、三淵藤英が参上し、義昭は茶会は中止であると摂津晴門に伝えるよう命じます。
三淵藤英は、茶会とは思えないような物々しさがあり、摂津晴門は引き下がらないのではないかと進言します。
そして、義昭の命令があれば、外で控えている細川藤孝の家臣を中に入れて、摂津を止めると言います。
細川藤孝が、兄の三淵藤英に光秀の肩を持つよう説得したのだろうと光秀は気が付いていました。
義昭は少し考えた後で、もし摂津晴門が従わなければ、捕らえて、政所の役を解くことを決めました。
三淵藤英は退室し、細川藤孝の元へ向かいました。
信長とは性に合わないと断言する義昭は、三淵藤英や光秀だけが頼みであると涙ながらに訴えます。
三淵藤英、細川藤孝と家臣らは、摂津晴門とその一味を包囲すると、義昭の下知であると伝えて摂津を捕らえました。
三条西実澄との出会い
数日後、足を引きずりながら歩く光秀の姿がありました。
光秀は、伊呂波太夫にお礼を伝える為に外出したのです。
伊呂波太夫は、駒に頼まれたのだと言い、光秀を贔屓にする細川藤孝の協力を得るのは簡単だったと打ち明けます。
また、幕府の重臣が抜けたことで、光秀は重い責任を背負うことになりました。
光秀は武士が尊敬すべきは将軍であると考えますが、信長は正親町天皇を崇拝しています。
信長は、正親町天皇から褒めてもらうのが、何より嬉しいようだと光秀は言います。
何故だか分からない光秀は、伊呂波太夫に正親町天皇はどの様なお方であると思っているか尋ねます。
以前、伊呂波太夫から正親町天皇は、美しい方だと聞いたことがある為です。
しかし伊呂波太夫は、正親町天皇から、一度だけお声を掛けられただけで、他は何も知らないようです。
立ち去ろうとする光秀に伊呂波太夫は、天皇の信頼を得ている人物が近くにいて、丁度、届け物があるから一緒に行かないかと誘います。
伊呂波太夫に連れられて会ったのは、老公卿・三条西実澄(石橋蓮司さん)でした。
『古今和歌集』を極めた三上西家の当主に拝謁し、光秀は恐れ多いと感じながらも挨拶をします。
三条西実澄は、正親町天皇のことを素晴らしいお方だと思っているようですが、万葉集を黙々と読んで光秀の相手をしません。
ですが、光秀が万葉集に気が付いたため、三条西実澄は万葉歌人の中で誰が好きかと問います。
光秀は柿本人麻呂の名前をあげて、理由は国と天皇、家と妻への思いが胸に響く歌であると答えます。
三条西実澄は、無言のまま光秀を見ながら栗を食べていました。
光秀は歯ごたえのある武士
京の御所。
宮中に参内する三条西実澄の姿がありました。
正親町天皇は、信長が一目置く武将として明智光秀の名前を耳にしているようです。
三条西実澄は、明智光秀のことを「歯ごたえのある武士」と評価します。
正親町天皇は、三条西実澄が光秀のことを気に入ったのだと見抜き、機会をみつけて光秀を連れてくるよう命じました。
三条西実澄のお供
ある雪の日、伊呂波太夫が光秀を訪ねてきました。
伊呂波太夫は、三条西実澄のお供として御所に参りませんかと、三条西実澄の伝言を伝えます。
内密に天皇に会う機会を打診されたことに光秀は驚きます。
ある日、三条西実澄の館。
立烏帽子、狩衣を身に着けた光秀の姿があり、三条西家の御用人として御所に参じる所です。
光秀は御所に昇殿できる身分では無い為、三条西実澄の用人の格好をしていたのです。
麒麟がくる35話の感想
明智光秀の城といえば、近江の坂本に築いた坂本城が有名だと思いますが、35話にしてようやく築城の話になりました。
これで明智光安(西村まさ彦さん)との約束が、ようやく果たせると思いました。
麒麟がくる17話で、斎藤高政(伊藤英明さん)に攻められ、明智城は落城します。
光秀の後見を務めていた明智光安は、城を枕に討ち死にする覚悟を決めて、光秀らを逃がした回です。
躊躇する光秀に対し、明智家の当主として再び城主になって欲しいと光安は言い、明智家再興を目指して光秀は落ち延びたのです。
人質の件がなければ、どんなに嬉しかっただろうと思いました。
史実上では、比叡山の焼き討ちの1年程前に、宇佐山城城主になっており、近江国志賀の支配権を与えられた時点で破格…というより織田家家中で「一国一城の主」第一号という待遇を得ています。
それでも、麒麟がくるでは、未だ信長に仕えていないようで??、不思議な感じがしています。
築城の名手だったという光秀の坂本城についても尺を割いて欲しいですが…、時間は無いでしょうかね。
また、藤吉郎の母・なかが登場しました。
なかのキャスティングは意外に思っていましたが、なかの話がキッカケになって、光秀襲撃計画が露見し、光秀の命が救われるという予想外の展開だと思いました。
麒麟がくる35話の見どころは、何と言っても滝藤賢一さんの演技でしょうか。
貧しい者を救いたいと目を輝かせていた覚慶の頃と、35話の摂津の操り人形になり、苦悩する義昭は別人のように感じました。
足利義昭はドラマなどに度々登場し、頼りなくて、どうしようもない人物だったりしますが、麒麟がくるの義昭は自身の不甲斐なさにもがく、一味違う義昭が見れた気がします。
痙攣した口元、涙をため込んだ目、鼻水、興奮で唾液が飛ぶ演技は、義昭が思い悩んでいたことを表現していたと思います。
光秀は将軍を頂に、信長は天皇と共に世を治めたいという違いは、本能寺の変に繋がるのでしょうか。
また、高貴さが滲み出るような、坂東玉三郎さんの天皇の演技にも見応えを感じています。
明智光秀の城~坂本城、亀山城(亀岡城)、周山城、黒井城、福知山城~
コメント
コメント一覧 (2件)
かおりんさん、こんにちは。
この回の摂津の失脚はスカッとしましたね!
そのあとの義昭の様子ですが、おっしゃる通り登場当初の様子と比べると面白いですね。
これぞ俳優!
という演技を見せてくださった滝藤氏に脱帽ですw
こんばんは。
コメントありがとうございます。
摂津晴門は憎らしい役でしたので、
失脚してくれてスッキリしましたね。
コロナの影響か合戦シーンは、殆どありませんが
俳優の演技が良くて楽しめますね。