長浜市石田町は石田三成の生誕地です。
石田町にある石田神社で「石田三成公一族及家臣供養塔」が祀られています。
石田神社の紹介、石田町の村人によって守られた石田家のお墓、三成の歌碑について書いています。
石田神社
石田三成の生誕地である長浜市石田町に八幡神社があります。
八幡神社は石田家の守り神であったそうで、八幡神社の境内の奥に石田神社があります。
石田神社には、石田三成の一族や家臣の供養塔があります。
まず、石田神社にまつわる話を書きます。
昭和16年(1941年)、八幡神社の裏に塚が発掘されました。
塚の中からは、多くの五輪塔や宝篋印塔(ほうきょういんとう)が故意に破壊された状態で見つかりました。
それは、石田三成の祖先のものと伝えられる墓石だったのです。
関ケ原の戦い後、石田屋敷は徳川方に破壊され、その後、石田家のお墓まで破壊し始めたと伝わります。
それを村人たちが拾い集めて、八幡神社の境内の端にひっそりと埋めて、これ以上破壊されないよう大石を置いて守っていたのだそう。
「この塚に触るとお腹が痛くなる」と言い伝えがあったそうです。
推測になりますが、塚に近づけない為の村人の精一杯の抵抗だったのかもしれません。
「三成さんの誕生した場所であると外部の人に胸を張って言えなかった時代があった」のだそうです。
この塚を発掘した昭和16年(1941年)当時も同様と思われます。
石田三成が現在のような評価になったのは、平成以降で昭和の頃は散々であったと記憶しています。
石田三成の評判が芳しくない中、当時の滋賀県知事であった近藤壌太郎氏は、三成のファンだったといいます。
郷土の偉人として顕彰したいとの意向があり、石田三成公事績顕彰会の発足につながり、顕彰会の手で塚の発掘が行われたそうです。
その後、仮の墓所で供養していましたが、昭和48年現在の「石田三成公一族及家臣供養塔」が祀られました。
現在でも、石田三成公事績顕彰会の方たちによって、大切に守られています。
下の写真から真っ直ぐ進むと、石田三成の一族及び家臣のお香所前の霊廟があります。
私は遠くに住んでいるので3回しか行ったことはありませんが、お花や線香も置いてあり綺麗に整備されているのが印象的でした。
地元の方も良くいらしゃるそうで、地元の人に大切されている様子が伝わってきました。
毎年11月の命日に、墓前に於て慰霊法要を執り行っているそうです。
残紅葉の和歌
石田神社の供養塔の近くに、石田三成の三成直筆の文字で刻まれた歌碑が建てられています。
「残紅葉 散り残る 紅葉はことに いとおしき
秋の名残は こればかりぞと」
関ヶ原の戦いに敗北した後に詠んだ歌ではないかと思っていましたが、『石田三成の生涯』という本によると、関ヶ原の戦いに出陣する際に詠んだとされると書いてあります。
大意「秋が深まる中、もみじの葉の大半が散ってしまった。
残紅葉は、わずかしか残っていないけど、名残をとどめているようで、いとおしい」
わずかに残る紅葉を讃えて、自身と重ね合わせたのかもしれません。
最後の一枚になろうとも、必ず豊臣政権を守るぞという意味でしょうか。
てっきり、関ヶ原の戦いで敗れた自身を紅葉に例えて、再起を図るのだという生への執念を感じる歌だと思ってました。
敗北後に詠んだように感じるのは私だけでしょうか。
三成の辞世の句
石田神社の供養塔の近くに、石田三成の辞世の句が掘られた碑石も置かれています。
「筑摩江(ちくまえ)や 芦間(あしま)に灯(とも)す かがり火と ともに消えゆく 我が身なりけり」
石田三成の辞世の句の解釈ですが
①筑摩江は琵琶湖東北端で現在の米原市付近
「近江の古い呼び方である」と解説する本もあり、三成の故郷という意味だと思います。
②芦の間に燃えているかがり火(焚き火)がやがて消えていくように、我が命も消えていくというように火と自身の命を重ねている
と解釈できるようです。
大意「故郷の芦の間に燃えている焚き火がやがて消えていくように、我が命ももうすぐ潰えてしまうのだな」
「芦間に灯す かがり火」を、これから先、おそらく消されてしまうであろう存在である「豊臣秀頼」のことを指していると解釈し、豊臣家の輝きが消えるのであれば、自分も消えるのみであるという意味であるとする本もあり、解釈は一つではないようです。
また、石田三成の生誕地でいただいたパンフレットには、佐和山城で作った辞世歌となっています。
関ヶ原の決戦を控えて、死を覚悟して作ったのでしょうか。
石田神社のアクセス
滋賀県長浜市石田町575
0749-62-8285
石田会館からは徒歩2分程だったと思います。
また、石田会館の目の前にKinoPan&caféというカフェがあり、「三成めし」認定のあんパンがあります。
ご興味ありましたらお立ち寄りください。
石田神社出入口近くの道に石田三成公マンホールもありますので良ければご覧ください。
交通アクセス
公共交通
JR長浜駅下車し、湖国バス近江長岡駅行きで20分
バス停:石田下車、徒歩3分
自動車
北陸自動車道長浜ICから車で5分
駐車場:有り
拝観料:入館無料
参考・引用・出典一覧
コメント
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